第24章 つかめる赤糸は一本だけ/アラン*ルイ
舞踏会が間近に迫り、今日は重点的にダンスレッスンを行うことになっていた。
一通りステップを踏み終わると、ルイは口許を緩め私に柔らかい笑みを見せてくれた。
「うん…いいよ。これなら次の舞踏会でも大丈夫だと思う。」
「ルイ、ありがとう…。」
日に日に決断を迫られているような気分で、ダンスを褒められてもいつもみたいに手放しで喜べなかった。
「…、どうしたの?」
首を傾げ心配そうに私に視線を向けるルイに、何とか笑顔を作って言葉を返した。
「ごめん、何でもないよ。」
「…嘘でしょ?が困ってることくらい、わかるから。」
そのままルイは私の体を抱き寄せて腕の中に閉じ込めた。
「ルイ…。」
「俺以外の誰かがに触れるのは、嫌だよ。」
見上げると、少し寂しそうな切ない表情が目に留まった。
「アランじゃなくて、俺の側にいてほしい。」
その言葉に、私は心当たりがあり、はっとした。
「…見てたの?」
ルイは小さく頷くと、私の体から腕を離し、その手で私の手をまるでダンスの誘いのようにとった。
「…、好きだよ。」
私の手の甲にそっとルイの唇が触れ、その部分からじわじわと熱くなる。
ルイの澄んだ青い瞳が、少し潤み揺らいでいた。