第23章 12月7日*ゼノ*
シュタインに到着すると、アルバートが出迎えてくれた。
「プリンセス、ようこそお越しくださいました。ゼノ様がお待ちです。…どうぞ。」
「ねぇ、アル。今日の計画手伝ってくれるんでしょ?ゼノ様に見つからないようにしてね。」
「…貴様に言われなくてもわかっている。抜かるはずないだろう。」
何だか険悪な二人をよそに、私はゼノ様がいらっしゃる私室へと案内された。
部屋に通されると、礼服に身を包んだゼノ様が待っていた。
「ゼノ様!」
いてもたってもいられずゼノ様の元へと駆け寄ると、両手を広げて迎えてくれた。
すぐに腕の中に閉じ込められれば、ゼノ様の優しく低く響く声が聞こえてきた。
「よく来たな。…会いたかった。」
「私もです。ゼノ様、お誕生日おめでとうございます!」
「…ああ。お前とこの日を迎えられて、嬉しく思う。」
ゼノ様はふっと目を細め、私の顎を持ち上げ唇を重ねた。
幸せな気持ちで満たされる心。
愛する貴方に最高の一日を贈りたい。