第21章 永遠の片想い*アルバート*
「…明日ですね。緊張されていますか?」
「うん…。でもシュタインの方々にゼノ様のお相手として認めてもらうためにも、明日からまた頑張らなくちゃね。」
その瞳にはもう涙はなく、未来を見据えた強い意思がこめられていた。
この場所で泣いている彼女を見つけ、ゼノ様への想いで悩み苦しんでいる姿を見たこともあった。
何度俺ならば泣かせないと思ったことだろう。
何度この想いを伝えようと思ったことだろう。
「…私、いっぱい話聞いてもらってたよね。」
「聞くことしか出来ませんでしたが…。あなたの助けになれたなら何よりです。」
「アルバートは口数は少ないけど、嘘を吐かないし的確なアドバイスをくれたから…すごく支えになってたよ。」
ゼノ様に長くお仕えし、あなたのことをずっと見つめていた。
だからこそお互いの想いは手に取るように理解できた。
そこで余計に拗れてしまうように運ぶことも出来たが、あなたの笑顔が失われてしまう。
俺はゼノ様の隣で見せるあなたの穏やかな笑顔が好きだった。