第21章 永遠の片想い*アルバート*
見慣れたシュタイン城の庭園の風景だが、今夜は一際美しく見えるのは何故だろうか。
乾いた空気と夜風が強張り速まる鼓動を落ち着かせる。
もうすぐ彼女がやって来る時間だ。
宣言式前夜に時間を頂くのは申し訳なかったが、二人だけで会えるのはおそらく今夜が最後だ。
「…アルバート。」
透き通るような柔らかな声で、名前を呼ばれて我に帰った。
「プリンセス、申し訳ありません。このような時間にお呼び立てしてしまい…。」
「ううん、いいの。…私もアルバートと話がしたかったから。夜の庭園もやっぱり素敵ね。」
最後に二人で過ごす場所は、この庭園がよかった。
シュタイン城を訪れ、初めて二人で話したのは色とりどりの花の中だった。
ゼノ様が公務の間、退屈させないようにプリンセスと過ごすという命令から始まった。
話すことが得意ではない俺に対して、気さくに明るく接してくれた彼女。
ウィスタリアの話や、城下にいた頃の話など、表情を変化させながら話してくれた。
想いを決して寄せてはいけない相手。
けれど裏腹に、彼女に惹かれてしまった。