第2章 また君に恋をする*ルイ*
その晩は一睡もすることが出来なかった。
ぐるぐる色々な思いが巡って。
でも最終的に到達するのは、「ルイを愛してる」ということ。
記憶が抜け落ちてしまっている彼の方がずっと不安を感じているはず。
だから、ジルに一つだけお願いした。
「ルイに私と婚姻関係にあるということが伝わらないようにしてください。」
「…それでいいのですか?」
「はい。私のことがわからない今、そんなことを言っても彼を混乱させるだけですから。…記憶が戻るのを待ちます。」
「…では、プリンセスの仰せのままに。」
ジルにとってはその案は得策ではなかったのだと思う。
だけど、「プリンセス」としての決定に従ってくれた。
ジルの執務室を出ると、アランが部屋の前に立っていた。
「。…悪い。通りかかったら話が聞こえてきて、つい。」
「ううん。気にしないで。」
「お前、本当にいいのか?あんなに想い合ってたのに。」
「本当は大丈夫じゃないよ?…でも、早くルイに元気になってほしいし、また好きになってもらえるように頑張るの。」