第14章 フライングハロウィン*アラン*
城に戻ると、現実に引き戻されたかのように残りの公務に追われた。
夜、やっと落ち着いて今日のハロウィンの余韻に浸っていた。
その時扉を二度叩く音がした。
さっきユーリにはおやすみなさいって言ったから、きっと彼に違いない。
「やっぱりアラン!」
「悪い、寝るところだったか?」
「ううん…待ってたの。お帰りなさい。」
どちらからともなく、腕を回し抱き締めあって温もりを感じた。
「アラン、今日は本当にありがとう。皆の喜ぶ顔が見られて幸せだった。」
「…お前、城下にいる時から周りから好かれてたんだな。今日見てて思った。」
「立場は変わっても、あそこは私にとっての故郷だから…。」
頬にアランの手が添えられ、そっと唇を寄せられた。
何度唇を重ねてもやはりドキドキしてしまう。
「ところで、トリックオアトリート。」
「え?今日のお菓子全部配っちゃったからもうないよ?」
「へぇ…。お菓子くれなかったら悪戯していいんじゃなかったっけ?」