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イケメン王宮*Short Stories

第14章 フライングハロウィン*アラン*


ハロウィンよりも1週間ほど早いけれど、城下の子供たちに会いに行けることになった。

バスケットにアランと一緒に焼いたクッキーをたくさん詰めたので、ふわりと香ばしくて甘い香りがする。

カボチャやお化け、月や星の形をしていてとても可愛いクッキー。

味見してみたけど、自分で作るより遥かに美味しかったのはアランの料理の腕が一流だからだな。

見慣れているけど久しぶりの城下町へと馬車が到着した。

「ほら、バスケット貸せ。気を付けろよ。」

アランに手を借りて、よく子供たちと遊んだ城下町へ降り立った。

「あー!せんせいだ!」

「せんせー!久しぶり!」

「おうじさまと、おひめさまだー!」

「ちゃん久しぶりね。すっかり綺麗になって…。」

ちょうど、よく知った子供たちとお母さんたちが広場で憩いの一時を過ごしていた。

ジルが城下の私の知り合いの方々に事前に手紙を送ってくれていたから、多くの知った顔に会うことが出来た。

「少し早いけど、今年もハロウィンの贈り物をしようかなと思って。」

「ほんとう!?じゃあ…せんせい、トリックオアトリート!」

「ぼくもー!トリックオアトリート!」

一つ一つ子供たちにお菓子を配る。

私がプレゼントしているのに、キラキラ輝く子供たちの笑顔で逆にパワーをもらったような気がする。

「おうじさま!トリックオアトリート!」

「わかったわかった。ちゃんと順番に並べよ。」

隣に視線を向けると、アランも子供たちにお菓子を渡している。

子供たちに向けられる瞳は優しくて、その表情は私の胸を熱くした。

この人と一緒にいられて良かった。

そんなことをふと思った。
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