第11章 『分解』 4
まぁ、君の怒りもプライドもわかるけど……
イズミさんが僕に視線を合わせて、頼めるか。と強い視線を送って来る。
小さく頷き返すと、イズミさんは困ったようにため息を一つついて見せた。
「あー、はいはい。勝手に行きなさい!…ただ、晩御飯までには、帰ってきなさいよ。」
「…はい!」
そう言ったイズミさんは何があったのかを詳しく話してくれた、『デビルズネスト』と言うところまでの地図を描いてもらっている間、イズミさんがエドワード君に聞こえないように言う。
「ビーネ。エドとアルを頼む。それから、アンタも気をつけるんだよ。」
「はい。」
僕もエドワード君も荷物をリビングに放置して、地図を受け取ってさっさと出て行くエドワード君を追い掛けた。
さくさくと進んで行くエドワード君。
僕は彼の姿を見失う事は無いけれど、彼はどんどんと大人たちの領域に足を踏み入れて行く。
「あらぁー、ちょっと、良い男。」
「う、っわ。」
「本当ね、遊んで行きなさい?」
お姉さんに絡まれた。やばい、これはなんかまずい!
「って!お前何してんだよ!」
「あ、エドワード君。助かったよ!」
ぎゅっと目をつぶって、腕を引かれたと思ったらエドワード君でした。
やぁ、どーもどーも。
「急いで出て行くから、僕も行くって言いそびれたんだ。」
「別に、てめーに心配される事じゃねー。」
「アルフォンス君が掴まってるんだ。助けない訳にはいかないよ。」
「……あっそ。」
エドワード君を先頭にずんずん道を進んで行く。
進むたびにエドワード君の怒りのボルテージは上がっていく。
『デビルズネスト』に入ればエドワード君顔負けの怖い顔をしたお兄さんたちが絡んでくる。
しかし、エドワード君のはちきれんばかりの怒りのオーラに、すんなりとアルフォンスの所まで案内してくれた。
「アンタが、グリード?」
いかにも自意識過剰なリーダーです。って感じの男がニヤニヤしながらこちらをみている。
……不快。