第11章 『分解』 4
「ねぇ。エドワード君。」
「ん?」
もぐもぐとパンを食べているエドワード君。
「なんか変だと思わないかい?」
「いや?別に。」
「あ……そうですか。」
ぜっったい付けられてるだろ!!
怪しいおっさんがそこかしこにいるぞっ!
いや、ダブリスに着くまでは大人しくしていよう。
そうしよう。面倒だ!
≪ダブリスー、ダブリスー≫
列車をいそいそと降りる。
「ふー、あっちぃあっちぃー。」
「さ、ほら、エドワード君、行こう!」
何となく嫌な視線を感じて、エドワード君をせっつく。
しかし、当の本人はポケットの中に銀時計を握りしめ、決意を新たにしているのだろう。
「おお、美しきかな、ダブリス!中々良い町ではないか、鋼の錬金術師。副司令官。」
やっぱこいつかっ!
僕らの隣に現れたのは、麦わら帽子にアロハシャツの大総統。
アームストロング少佐も一緒で彼は軍服で、二人分の荷物を持っている。
「なっ、なっ…何」
「はぁ…大総統。」
驚きすぎて言葉の出ないエドワード君。
大総統は、僕らにお土産だと言ってスイカを渡してくれた。
……もう、こいつらに付き合ってられない。
まだ、唖然としているエドワード君の腕を引っ張って、とにかくアルフォンスの待つイズミさんの家へと急いだ。
「…ったく。」
「い、いいのか放っておいて。」
「構ってられるか!」
まだ、後を付けられている感は否めなかったが、撒くとあとが面倒になりそうで止めておいた。