第10章 『分解』 3
俺には人の職場の事まで心配する心の広さは無いから、適当に流しておいた。
特に嫌みなこいつの事だから余計かもしれない。
食事の後は各々好きな事をして過ごす。
「ねぇ、エドワード君。鉱物に含まれる水の割合ってわかる?」
「鉱物ったって色々あるけど。」
「じゃぁ、まず鉄。」
錬金術馬鹿が二人もいれば必然的に、錬金術の話しになっていく。
ビーネのノートは段々と黒くなり、終いには、手持ちの金属で試してみたりもした。
「やっぱすげーな。なんつーか、型にはまらない錬金術!」
「まぁ、僕は水の錬金術の方が得意だからね。」
「へー。」
やな奴のはずなのに会話は楽しかった。
気がつけばいつの間にか奴はテーブルに伏せって寝息を立てていた。
「ベッドで寝ろよー。」
「……ん。」
わずかに返事はしたが、起きる気配は全くない。
寝てることを良いことに、ちょっと観察してみた。
すごく整った顔、長い睫毛、俺より薄い金色の長い髪、大佐に負けないぐらいのイケメン………って何言ってるんだ俺は!
俺は、仕方なくビーネに毛布を掛けて、俺は消灯してベッドで寝た。
・・・