第10章 『分解』 3
「アンタ、上官の前ではいつもあんな感じなのか?」
「んー。いいや、大総統の前だけだよ。」
なぜ?と聞くと、君は気がつかないの?と良くわからない答えが返ってきた。
「ふぅん。まぁ、いずれわかる事だし。お楽しみってことで。」
「お前、やっぱ性格悪いな。」
「…君ほどじゃない。」
少し話しをすれば、先ほどまでずっと付きまとっていたピリピリした空気が少し取れた気がする。
「エイドスさんってどうかしたのか?お前の上司だろ?」
「殺されたんだ。何者かにね。」
「え?」
「それに、父さんが巻き込まれてさ。ちょっとした事件になったってわけ。」
事件の事は部下がなんとかしたから、気にすることない。と奴は言うが、たしかエイドスさんは中将だったはず。
そんな重役が殺されて置いて、こいつはのうのうと南部にいる。
「……おかしくねェか?犯人捕まってないって言うのに、お前こんなところで油売ってていいのかよ。」
「実は、犯人はもうわかってるんだよ。それを捕まえるのは至難の技なんだ。今は機会を窺ってる状態。連絡が入れば軍に戻る。」
「ふぅん。色々難しいんだな。」
「まぁね。」