第10章 『分解』 3
「とりあえず、軍部に顔出さなきゃ!うん!」
トレーニング器具を急いで元の位置に戻し、バタバタとシャツにそでを通す。
まぁ、この分だとレポートのレの字もやってないんだろうな。
「エドワード君。僕も一緒に行くよ。」
「え?お前関係ないだろ?」
「ない訳ないだろ。人事部に話しを通せるのは誰だと思ってんの?僕は監査副司令だよ!」
どん。と胸を叩いて見せる。
アルフォンスはぱちぱちと手を叩いてくれて、エドワード君は感動して涙を流す。
「持つべきものは、お偉いさんだな。」
「兄さん。そこは友達でしょ。」
「そうともいう。よし!いこう!」
イズミさんが、くるりとこちらに向き直った。
「イズミさん。僕もエドワード君と一緒に行ってきます。」
「そうかい。気をつけて行っといで。」
「はい。」
「二、三日で戻ると思います。」
そういって適当に荷物を詰めたトランクを手に飛び出して行くエドワード君。
僕は慌てて荷物を取りに走り、広げてなくて良かったと安堵しながら、自分のトランクをかっさらう。
「じゃぁ、行ってきます。」
「兄さんの事お願いね!」
「うん。」
エドワード君を追い掛けて家を飛び出せば、前方で早く早くと僕を急かすエドワード君が待っていた。
ホント、忙しない人だな。