第10章 『分解』 3
昨夜、慌ててイズミさんの家へ駆けこむと既に夕食が出来上がっており、食卓にはイラついているイズミさんが座っていた。
案の定、エルリック兄弟は怒りの鉄槌を受け撃沈。
僕も約束を守れなかったので、盛大にげんこつと背負い投げを受けた。
……彼らの修業していた時代を何となく想像してしまう。
「ビーネ。私は病院に行ってくる。二人の事頼む。」
「あ、ご一緒しても良いですか?」
朝食の片付けをしている時に、イズミさんが出掛けると言うので、視察も兼ねて同行することにした。
「アンタみたいな良い男を連れて歩いていたら、勘違いされちまうね。」
「何言ってるんです、ただのガキです。エドワード君と同い年なんですから!」
「はっはっは!ここらではアンタほどの男は見たことないからね!」
見てみなよ!と肩を組まれ、商店街の方へと顔を向けさせられる。
そこには女の人たちが沢山いて、なにやらひそひそと耳打ちあっている。
「…昨日は物乞いの方にお譲ちゃんって言われましたけど。」
「そう見えなくもないか。ま、イケメンは何をするにもちょっとお得さね。」
そうでしょうかねぇ…。
たいして変わらない気もしますが?
まぁ、ロイみたいに女には困らないかもしれないけど、興味ないしな。
「さ、ここだ。待合室で待っててくれ。すぐ終わるよ。」
「はい。」