第9章 『分解』 2
先頭を歩いていたエドワード君がピタリと足を止めてしまった。
「当たり?」
「ウザいぞ、てめぇ。」
「そっちの鎧の人、身体が無いんでしょ?」
エドワード君が身体を反転させると同時に、強烈な蹴りを放つ。
男は顔面でそれを受け止め、ゴミ置き場に突っ込んだ。
「行くぞ。」
「ぶっ!鼻が折れちまった!てめコラァ!図星だからってなんだその態度!まったく、親の顔が見たい」
エドワード君が近くにあったゴミ箱を手に取ったのが見えた。
「しつこいんだよ!てめーーーはっ!!」
男の言葉を遮るようにして、ゴミ箱が投げられた。
「へへ…うぇっへへへ…ムキになってるってことは、そっちの鎧は人間じゃねぇって…か」
「野郎まだ言うか!」
「よしなよ、エドワード君。」
関わる必要もない!
僕がエドワード君を抑えると、アルフォンスが前に出た。
「おじさん。いいかげんにしてよね。」
アルが男を子猫のようにつまみ上げ、低い声でそういう。
「うぇっへっへ…わ、悪かったよ…ちょっと、大人げなかっ」
「アル!避けろ!」
一瞬、男の身体に力がこもったのがわかった。
何かするつもりだ!
アルに声を掛けたが遅かった。
「イヤッハァ!まちがいねぇ!魂を錬成した奴だ!」
男の腰からは人間には絶対に無い、尻尾。
その尻尾が一瞬のうちにアルの頭を飛ばしてしまった。
「この野郎!」
「おっと!」
激昂したエドワード君が男に蹴りを入れるが、ひょいと飛んで避けられた。
まぁ、うまい具合に僕の攻撃範囲内にジャンプしてきやがった。