第9章 『分解』 2
「…っと!近道しよう。急いで帰らないと、師匠に怒られる!」
エドワード君の先導で細い脇道に入る。
僕はここの地理にはもちろん詳しくないので、黙ってエドワード君に続く。
「お兄さん、そこのお兄さん。哀れなあっしらに恵んではくれませんか?」
「うるせぇ、働け。」
物乞いらしき人物が僕らに声をかける。
らしき。と形容したのはいささか物乞いにしては威勢がいいなと思ったからだ。
エドワード君は……気がついてないのかも…しれない。
気がついてねぇか。
「ちょっと、つめてぇんじゃねえの!?」
物乞いは裸足で僕らを追い掛けて、次はアルフォンスと僕に声をかける。
「ねぇ、そっちの鎧のダンナにお譲ちゃん!」
「ごめんね。お金持ってないんだ。」
……お譲ちゃん?はぁ、何処のどいつの事でしょうねぇ。
「またまたぁ!国家錬金術師なら、ガッポリ持ってんでしょ?」
「そんな錬金術師しらねーよ。」
「ごまかさないでくだせェよ。お兄さん一部の界隈じゃちょいと有名ですよ?」
はー、嘘だね。
めんどくせー。
「弟の魂を錬成したってね。」
男の言葉で一気に緊張した。