第9章 『分解』 2
今まで、名前で呼ぶことをためらって来た奴なんていなかったけど、なんとなくビーネ・ヒューズの事だけは名前で呼びたくなかった。
「まー、あいつにばれなきゃいいか。」
「え?別にばれても良いと思うけど?」
「……いいんだよ!」
俺と同い年で国家錬金術師なのに、俺より偉くて、仕事ができて、イケメンで、身長も高くて……全部がムカつく。
いくらあいつに錬金術の知識があるからと言って、出来れば頼りたくなかった。
なのに……
『エドワード君とアルフォンス君が追い求めてる賢者の石。それと、身体を取り戻す方法。僕も知りたいんだ。』
だ。
誰かの差し金かとも思ったが、あいつの部署を考えると後ろがいるとすれば、エイドス中将とかいうサングラスの胡散臭いおっさん。
それに、あいつはそこの副司令。そこそこ偉いところにいるのだからそんなことは無いかと思う。
『能力全開で国を破壊しそうになるくらいムカつくことがあった。』
鈍そうなあいつでも、怒ることあったんだな。
まぁ、俺たちはとことんあいつを利用させてもらって、元の身体を手に入れるまでだ!