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七色の雫 ~生きる道の再構築~

第9章 『分解』   2


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「兄さん。その話本当なの?」

マルコーさんの本をシェスカに複写してもらっている間、俺とアルは図書館に籠って、それにかかわりそうな本を読み漁っていた。
休憩も兼ねて昼食を取りながら、アルにリゼンブールでヒューズに聞いた話を聞かせた。

「さー、どうだか。…ヒューズは五体満足だし、どこも悪くなさそうだし…。」
「じゃぁ、ヒューズさんも僕らと同じかもしれないんだね。」
「そういや、ジプシーって言ってたな。ヒューズは元々その一族?の生まれだって。」

その日の午後。
俺とアルは『ジプシー』について調べた。
彼らは移動しながら暮らす移動民族。砂漠や荒野、森なんかも移動ルートに入っていて、決まったルートを何年もかけて移動しながら行商や文化の交流なんかをしていたようだ。

「かなり古い記述があるな。」
「そうとう歴史があるみたいだよ。それに、錬金術や錬丹術、呪術や魔術も使ったって書いてある。……胡散臭いけど?」
「まぁ、嘘じゃねェだろうな。新しい本には自然を操る錬金術って書いてあるし。」

生活の基盤、水を確保するために彼らは錬金術を使って水を確保していた。
ジプシーの人は誰もが錬金術を使えるし、物心着いた時には落書きが錬成陣だって記述もある。

「ボクらよりも、数倍錬金術に詳しいのかもしれないね。…ヒューズさんがそんなに小さい時に人体錬成が出来たのもうなずけるよ。」
「でも、そこまで錬金術に詳しいなら、人体錬成なんてするか?」
「お父さんが死んだんだ。腕に自信があるならやるんじゃないかな?」

もしくわ、人体錬成自体を完成させていて、たまたまヒューズが失敗したとか?

「あ。」
「ん?」
「ヒューズさんに顔を出せって言われてたの、忘れてた。」
「はぁ?ヒューズがそんなこと言ったか?」
「違うよ!ヒューズさんに。」
「ヒューズさん?ヒューズ中佐の事か?」
「そうだよ!」

ややこしい!!

「別にいいんじゃねぇの?軍に行く用事があった時にでも顔出せば。」
「でも、軍に行ったらヒューズさんもいるよ?さっきの事聞いてみない?」
「そりゃいるだろ。ヒューズ中佐だって、ヒューズだって……って!わかりずらいわっ!」
「ヒューズ中佐とビーネさんにしよう!ボクも頭こんがらがってきたよ…。」



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