第9章 『分解』 2
羨ましいなぁ。と言葉を続けると、急にピクリとも動かなくなった。
「エドワード君?」
「はっ!…古傷が……!」
なんだろう。
とても聞いちゃいけないことを聞いてしまった気がする。
「あ。そ、そうそう!これは本当に機密なんだけどね!」
焦って話しをすりかえる。
「マスタング大佐がそろそろ中央に移動になるよ。」
「へぇー。欲の強い人だねぇ。」
「はは。だね。」
良かった。
いつものエドワード君に戻った。
「みんな前に進んでんだな…俺たちだけか、進歩なしは。」
エドワード君の思う、進歩なし。は元の身体に戻ってないってことなんだろうな。
「僕も協力する。話せる範囲では話そうと思うし、わからない事は一緒に解決していきたい。」
「ったく、どういう風の吹きまわしだよ。お前、そんなに人と関わるタイプじゃねぇだろ。……なんか、あったのか?」
やっぱり鋭いな。
だてに国家錬金術師になったわけじゃないか。
「能力全開で国を破壊しそうになるくらいムカつくことがあった。」
「ははっ、なんだそりゃ。」
でも、冷静になったらすごく寂しくなった。
だから一人じゃなくて、彼らと一緒に真実を追う事にしたのかもしれない。
「お前、俺に面白い奴って言ったけど。お前も案外面白い奴だな。」
「君に言われたくないよ。」
「てめー、性格悪いな。」
「君ほどじゃないよ。」
「……お前友達いねェだろ。」
「………失礼な。」
図星を突かれたことを悟られた。
隣でニヤニヤしているエドワード君がいるのが手に取るようにわかる。
絶対笑ってる。
「僕は寝るよ!おやすみ、エドワード君。」
バサリと布団を被って、重かった瞼に従い、すぐに眠気に身を任せた。
くっくっく。とこらえるような笑い声を夢で聞いたような気がした。