第9章 『分解』 2
今日も長い一日だった。
夕食をごちそうになった後、宿を取ると言ったが、イズミさんがエドワード君たちと一緒に寝ると良いと言ってくれたのでお言葉に甘えて、エドワード君と同室でベッドに横になっている。
アルフォンス君は汚れた鎧を磨きたいと、庭にいる。
「……悪かったな。」
目を閉じて、虫の声に耳を傾けていた時。
ふいにエドワード君がそう言った。
「アルには話しちまってたんだ。お前の事。」
「別に国家機密とかではないから、話しても良いけどね。」
「同じ人体錬成した奴って、今まで見たことなかったから……」
「本当はもっといろんなことを聞きたかった。だろ?」
「あぁ。」
淡い月明かりを頼りに天井を見つめる。
「まぁ、イズミさんには、半分脅されて話したって感じか?」
「……うん。悪ぃな。」
「別に、いいよ。」
イズミさんの事だから。
僕の事を何となく聞いたら、思ってた以上に重い奴で、無視できなくなった。ってところだろう。
「でさ、俺たちに用事って、本当に賢者の石の事か?監視じゃなく?」
「うん。本当だよ。…今の所の理由としては、錬金術師としての興味と。軍人としての真相解明。と言ったところにしておいてくれ。」
「……わかったよ。」
りーん、りーん。ころころころ…。
と虫の声が部屋に響く。
「エドワード君とアルフォンス君は、イズミさんの所で修業をして長いのか?」
「そんなに長くないな。1年もいなかった。」
「へぇ。でも、楽しそうな感じじゃないか。」