第8章 『分解』
「そう言えば、ヒューズの話って何だ?」
エドワード君にそう聞かれ、ようやく話すタイミングが回ってきた、と、少しホッとした。
「エドワード君とアルフォンス君が追い求めてる賢者の石。それと、身体を取り戻す方法。僕も知りたいんだ。」
「は?アンタ別に必要ないんじゃ?」
確かに、僕には必要ない。
けれど、父さんには……父さんに、出来る事なら手足を取り戻してやりたい。
今も生死をさまよっている父さんの事を話せば、『賢者の石』がらみだとエドワード君にはすぐに推測がつくだろう。
彼らの歩みを邪魔するわけにはいかない。
「理由は……後ででも良いかな?まだ、話したくないんだ。」
整理がついてなくて…。と濁す。
彼なりに多少の事は察したのだろうが、それがどの範囲で関わってくるのかは予測できないだろう。
「必ず、話せよ。」
「……努力するよ。」
僕らのやり取りにイズミさんは少しばかし不満顔だが、それぐらいは許してもらおう。
「まぁ、まず。アルの記憶を取り戻してみよう。なんせ全身を持って行かれているから。」
「そうか!あいつのいっていた『通行料』の量で言うなら、アルは真理に一番近いところにいる!」
「じゃぁ、その時の記憶が戻れば!」
扉の記憶かぁ。
………。