第8章 『分解』
朝一番の列車。
ホームでは母さんとエリシア、送ってくれたヴィンズが見送りに来てくれた。
「ビーネ。少佐も行くと言って聞かなかったが、黙って来て良かったのか?」
「言いましたよね。犯人はロスさんのようなロスさんではない人物。少佐が側にいなくて誰が彼女を助けるんです。」
「…そうだな。では、少佐気をつけて。」
「はい。」
窓から身を乗り出して母さんに抱かれているエリシアを抱きしめる。
「エリシア。いい子にしていられるね?兄ちゃんは父さんを元気にする薬を探してくるから。」
「うん!にいちゃ、いってらっしゃ!」
母さんが一度エリシアを地面に降ろし、悲しそうな表情で僕の方に顔を近づけて来る。
「無理しないでね。たまには帰ってくるのよ。…それから」
「母さん。行ってきます。僕は大丈夫。…大丈夫。」
汽笛が鳴り列車が滑り出す。
手を振って別れを告げ座席に身を預ける。
「結局は戦火に身を投げるか。」
ポケットに入った銀時計を握りしめて、彼らが向かった先ダブリスへと向かった。