第7章 『理解』 5
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中将の葬儀から数日後。
いつものように一番に出勤して植物に水やりをして、次々と来る先輩たちに挨拶と共にコーヒーを出して…。
あ、どうも。入隊して半年のフーバー・フェミニンと申します。
先輩にはナヨナヨしてるとか、もやし、とか言われてますけどこれでも男です。
…副司令以外のみんなが出勤して来て、最近では監査のあねさんのエクリアさんがまとめ役なのでエクリアさんに今日の仕事を貰いに行く。
とそこに、バタバタと誰かが走る音と共に監査司令室の扉が思い切り開かれた。
「おはようございますっ!遅刻ですか!?」
駆けこんで来たのは我らが副司令、ビーネ・ヒューズさん。彼は僕より年下だけど僕より偉い。
「遅刻だ。エクリア、こいつにペナルティだ。」
「ヴィンズ!それだけは勘弁して下さい!」
ヒューズ少佐の右腕兼…お守…のヴィンズ先輩。
「副司令なんだか元気ですね!」
「うん、さっき人事部に寄って新しい役職の申請をしてきたんです。ですので、今日からヴィンズが司令になります。」
僕は副司令のままです。と言い切るヒューズ少佐。
「でも、それだけじゃぁないんじゃないのかい?」
エクリアさんの意地の悪そうなほほ笑み。
「ヴィンズが司令に決まったので、僕はお休みをいただきます。いつ復帰かは決めてませんが、緊急の仕事の時は戻ります。少し、各地を回ろうと思っているので連絡が取りにくいかもしれませんね。」
ここ最近監査をにぎわせている問題『賢者の石』にかかわる事件や不穏な動き。
そして、ヒューズ副司令のお父さんが重傷でそのために副司令は旅に行くんだと思う。
先輩たちはハッキリとは教えてくれないし、副司令も言葉を濁すばかり。中将の死の理由も一緒につきとめるつもりなのかもしれない。
「俺が司令なら、ビーネにペナルティを課す権利はあるな。」
「あ…そ、それはご勘弁を。」
「フン。」
ヴィンズ先輩はそう言いながらも、既に出掛ける準備をしてきている副司令を駅までちゃんと送っていくんだろう。
なら、僕らは副司令のためにも亡くなった中将のためにも、僕らに出来ることをきちんとやっておこう。
「フーバー。今日はこっちも任されてくれるかい?」
「は、はいっ!がんばります!」
僕も新たな道へ挑戦するって決めたんだ!
ヒューズ副司令!応援してます!
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