第7章 『理解』 5
「その銀時計で何をする気だ?」
「なぜ父さんを襲ったのかを聞き出して、その理由を明らかにする。たとえ真実が受け入れ難いものであっても暴いて見せる。」
彼はやはり、鋼のが犯した禁忌も、彼らが何を追っているかも知っているのだ。
そして、なぜ父親が襲われたのかもうすうす気が付いているのだろう。
明言はしない。
すれば周りをも巻き込むことになるから。
……だから、お前もガキだといわれるんだ。
「まぁ、無理はするな。出来る事なら協力しよう。」
じゃぁ、また来る。と言って来た道を戻ろうとした。
後ろで彼が立ち上がる音が聞こえ、ちらりと盗み見れば、彼はしっかりとこちらを見ていた。
「マスタング大佐。人事があなたを中央へ呼び寄せる案件を通しました。監査も勝手ながら、その人と形を分析させていただき。あなたの中央招集を承諾いたしました。また、近いうちにお顔合わせできると良いですね。」
ビーネはそう言うと私を追い抜かして、さっさと廊下から消えてしまった。
……まったく、恐ろしいガキだ。
中将が手放すのを惜しむ訳がわかったよ。
頭が良すぎる。
中尉と合流し、ヒューズが生きていた事や、ビーネがそこまで落ち込んでいなかった事、それから中央招集のことも話した。
彼女もホッとした様子でようやく笑みが戻った。
「大佐、お帰りにならないのですか?」
「あぁ、少しやることがある。」
私は足をヒューズの勤務先である軍法会議所へと向けた。
真実を探るために。
親友を殺そうとした奴をあぶり出す為に。