第7章 『理解』 5
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執務室にリリンと電話が鳴った。
運よくちょうど戻ってきたところで、受話器を取った。
『中央のヒューズ中佐から、一般回線で通信です。』
「またヒューズか、つなげ。」
そう言えばこの間娘の誕生日があったと言ってた。
また、そこがらみの話しだろうか。
「私だ、娘の自慢話なら聞かんぞ!」
電話の先の相手からは一切返事がない。
何かあったのではないかと、電話相手に呼び掛ける。
「ヒューズ…?……おい!ヒューズ!…ヒューズ!」
何度も何度も呼びかけてようやく聞こえてきた声は、彼の愛息子の声だった。
『ロイ?』
「ヒューズ!いや、ハニー!何があった!」
『父さんと中将がやられた。』
「何だと!」
伝えられた内容とは裏腹にやけに冷静なビーネの声。
『ははっ…僕、どうしたらいいだろう。』
「ビーネ…近いうちに顔を出す。」
そう言った彼の言葉の裏には『人体錬成』の言葉が感じられた。
そんなことはしないとは思っている。
また、あんな大罪を犯すほど彼はバカじゃないはずだ。
「大佐?どうしました?」
「…ヒューズが殺されたそうだ」
「え…?」
今の私にはそれ以外何も言えなかった。
なにぶん情報が少なすぎる。
「明日にでも、中央に行ってくる。君も来るかね?」
「はい。」
一体、中央で何が起きているのか…。
翌日、朝一番で中央に向かい、ビーネの所属する監査司令へと顔を出した。
そこには疲れ切った顔のビーネの同僚達。
さすがは監査の人間だ、大佐が訪問しているというのに、各々の仕事の手を止めたりしなかった。