第7章 『理解』 5
軍帽を膝に乗せて、病院に戻る。
次は中将の遺体が安置されている安置室へと足を向けた。
「あ、副司令。」
「みんな揃いましたか?」
寝巻のような私服でいる人もいる、軍服を引っ掛けてきただろうという人も。
みんなの視線が僕に集まる。
僕は話をした。
僕がたどり着いた推測も、父さんが何を調べていたのかも、中将がどのような死に方をしたのかも…。
「じゃぁ、次の隊長はビーネがなるのかな?」
「いいや、僕は辞退しようと思ってる。ヴィンズを推薦したい。もちろん地位も上げて。」
「いや、俺は。」
今の監査に一番必要な能力をそろえてるのはヴィンズだ。
父親の後を継ぐこともできる。
「今すぐじゃなくても良い。考えておいてください。中将のご遺体は軍の手順に従って葬儀をしましょう。」
「ビーネ。中将の事は俺がやるよ。ビーネは自分の父親を。」
アレイがそう言ってくれた。
襲われたらこまる。とアリスを護衛に付けてくれた。
とぼとぼと母さんたちの所へ戻る。
「あんなことがあっても、あなたはその服を着るのね。」
「…これは、僕の誇りなんだ。父さんと同じように仕事がしたいから。」
この服を初めて着た僕をすごく喜んでくれたから。
僕の姿を見て欲しい。
「お父さん、きっと喜ぶわ。」
「うん。」