第7章 『理解』 5
「ロイ?」
『ヒューズ!いや、ハニーか!何があった!』
「父さんと中将がやられた。」
『何だと!』
父さんは訳があってロイに電話を掛けた、それも外から。
足元には父さんの手帳が落ちていて、家族4人で写った写真が落ちていた。
「ははっ…僕、どうしたらいいだろう。」
『ビーネ…近いうちに顔を出す。』
そう言って切られた電話。
僕はそれから、涙を流すわけでもなく、絶望して動けなくなったわけでもなかった。
驚くほど冷静だった。
それから自分がどうしていたのかわからない。
軍の病院で集中治療室の前のベンチに腰を掛けて、血にまみれた軍服のままぼーっとしてた。
「ビーネ。着替えてきなさい。」
眠るエリシアを抱いた母さんが青ざめた顔でそう言う。
うん。と返事が出来たかどうかわからないけど、立ち上がって部下に付き添われ病院を後にした。
隊の更衣室で予備の軍服に着替え、隊を出た。
「あれ?病院へいかないんですか?」
「父さんの血痕は資料室から続いてた。」
ぴょこりと覗いてみたが、特に荒らされた形跡もなくテーブルの上も綺麗で、ただ戦闘の後だけが残っていた。
不審…ではあるけどね。