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七色の雫 ~生きる道の再構築~

第1章 『出会い』



「僕の父はお二人ともご存知でしょう。マース・ヒューズです。父がお世話になってます。」
「あ、いえ。こちらこそいつも助けていただいて…」

どもども……じゃねぇぇぇぇえええ!!!

「ってか、本当の目的は何だ!俺らが軍に歯向かう人間じゃないか監査しに来たのか!」
「………へ?」
「へ?じゃねぇ!どうなんだ、え゛?」

ヒューズのきょとんとした顔、アルは不安そうに両手をぱたぱたさせている。

「ぷっ…く、あっはっはは!エドワード君って面白いね。アルフォンス君楽しいお兄さんを持って良かったねぇ。」

ヒューズは目じりに涙を滲ませながら笑っている。
おい、いったい何がどうなって…

「ごめんごめん。軍に歳の近い人がいないから、父さんから聞いて君たちの事が気になってたんだ。だから、監査も兼ねて訪問した。」
「……はぁ。」

拍子抜けして、彼にもイスを勧め、俺もベッドに腰を掛ける。

「二人はタッカーさんのお知り合い?」
「いや、訳あってタッカーさんの研究資料を見せてもらってるんだ。」
「…ふぅん。」

何か知ってそうな雰囲気の反応。
内心ひやり。

「ヒューズさんは?やっぱり大佐の監査でこっちに来たのか?」
「今回は監査の仕事はおまけなんだ。主な任務は別にある。それと、「さん」はいらないよ。僕、エドワード君と同い年なんだから。」
「えぇええ!?同い年?!」
「うん。僕も15歳。軍人になったのは13の時だけれど。」

君の方が先輩だね。と笑う様子は昼間見たものよりも幾分か柔らかかった。

聞きたい事は沢山あった。
何でその歳で軍人なんてやっているのかとか、何故監査隊に所属しているのかとか、……ヒューズ中佐に15歳の子供がいるのは年齢的におかしい、とか。

でも、彼はそれから俺らに「何か見つかると良いね」とだけ言って部屋を去って行った。

「そんなに悪い人には見えないけど…」
「まぁ、な…。けど、同い年で監査司令部とか言う大層なとこにいるんだ。なんか理由があるんだろ。それに、ヒューズ中佐の本当の息子だとしたら…」
「……中佐がとっても罪を犯したとしか思えないね。」

14か15で子供を……。

「さすがにそりゃねぇだろ。」
「ないね。」

う~ん。と頭を捻りだした俺に、アルが明日もあるから寝ろと言った。
とにかく、今はタッカーさんの家の資料だ。



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