第6章 『理解』 4
エリシアをだっこしてリビングへ向かうと、なぜだかウィンリィさんの姿があった。
「あ。おじゃましてます。」
「もしかして、父さんに連れてこられたんですか?」
「いーじゃねぇか。大勢の方が楽しいだろ?ねー、エリシアちゃぁん。」
僕の腕からエリシアを奪い、イチャイチャし始める。
…このやろう。さっきまで遊んでいただろう。
「ヒューズ中佐!おじゃまします!」
「お邪魔します。」
「おぉ、アリスにヴィンズじゃねぇか!良かったなエリシア、友達が沢山だぞ!」
ぎゃはは!とはしゃぐ彼らを横目に、僕も上着を脱いで食事の支度をしている母さんとウィンリィさんを手伝う。
『エリシアちゃん、お誕生日おめでとー!』
ドンチャン騒ぎでエリシアの3歳の誕生日を祝う。
エリシアのお友達の男の子や女の子も来て大いに盛り上がっていた。
その中で一人、ウィンリィさんだけが、無理して笑顔を作っているような気がした。
「ビーネ。ちょっとエリシアを頼んでも良いか?」
「あぁ、うん。わかった。」
やっぱり父さんはお人よしだ。
エルリック兄弟に一番身内に近い所にいるウィンリィさん。
彼女が悩んでいるのはきっと彼らの事だろうと、父さんはお節介を焼くつもりなのだ。
「エリシア。すこし、兄ちゃんと遊ぼうか。」
「うん!」
いつの間にか疲れて眠ってしまったエリシア。
母さんが片付けを始める。
「ビーネ。ウィンリィちゃんを客間に案内してあげてくれる?」
「うん。」