第6章 『理解』 4
重なり合ってずっこけているビーネとエドワードを見てひと笑い。
「父さん!ノックぐらいしろよ!」
「わはは!わりぃわりぃ。」
二人を助け起こしながら、女の子を連れ込んだ事をからかう。
「ただの機械鎧整備師だって!」
「そうか、整備師をたらしこんだか…。」
「違うっつーのっ!」
まったく。こいつもビーネと同い年だっていうのにガキだな。
ビーネに勧められたイスに座って、整備師の女の子へと視線を向ける。
「ウィンリィさん。これは僕の父です。煩くてすみませんねぇ。」
「あ、いえ!ウィンリィ・ロックベルです。」
「マース・ヒューズだ。俺の可愛い可愛い息子が世話になってます。」
「やめてくれ、父さん……。」
嬉しい癖に!
「…ところで、なんで中佐がいんだよ。」
「ん?非番ついでに、お前さん達の様子を見に来たってのもあるが、もう一つ、スカーの件も情報が入ってな。…もうじき警戒が解除されそうだ。」
「本当に?!やっと鬱陶しい護衛から解放されるよ!」
扉の方に控えていたロス少尉とブロッシュ軍曹が不服を漏らす。
まぁ、随分と仲良くなったな。
「護衛って…あんたどんな危ない目にあってるのよ!」
「うっ…いや、まぁ、なんだ!気にするな!大したことじゃねーよ!」
「……。そうね。どうせあんたら兄弟は、聞いたって言わないもんね…」
女の子にそんな顔させてどーすんだ。
後ろで動く気配があって振り返ると、ビーネがいそいそと上着にそでを通して、帰る支度を始めていた。
「ハニー、仕事か?」
「いいや、エリシアのプレゼントを買いに行くんだ。」
そう言いながらグレイシアのように優しく微笑む様子は可愛くて仕方がなかった。
よし!と背筋を正して病室を出て行く息子の姿に、俺も負けてらんねぇな。