第5章 『理解』 3
はっ!
第五研究所!賢者の石!
「……お前、なんか今日ぼーっとしてるな。」
「あ、だ、だ、エドワード君は!?」
「いや、だから病院に…」
また来る!と言い残して部屋を飛び出し、外出の準備をするために急いで監査隊に戻った。
隊に飛び込めば、デスクワークをこなしていた仲間たちが驚いたように立ち上がった。
「何事ですか!?」
「ヴィンズは!?」
「ヴィンズさんなら武器庫ですが…。」
「ありがとう!」
くっそ!色々あり過ぎて頭爆発する!!
とりあえず、昨日僕が彼らにもっときつくおとなしくしているように言えば、怪我なんてしなかった!!
武器庫に走り込みヴィンズ(運転手)を捕まえ早速病院に向かった。
ヴィンズを連れて病院の廊下を歩けば、軍服の僕らは目立つのか、こそこそと耳打ち会う人が大勢いた。
「ロス少尉!」
「あ。ヒューズ少佐。」
「エドワード君が重傷だって聞いて…!」
病室の前に立っていたロスさん。
そこが彼の病室だろうと検討を付け、彼女に聞いた。
「なんだよ、来たのか。」
冷たいエドワード君の声。
慌てて振り返れば、ブロッシュさんに押され、車いすには乗っているものの少し元気そうなエドワード君。
「…昨日はガキなんて言ってごめん。」
「はっ。どうせその中将様に謝ってこーいとでも言われたんだろ。」
挑発的なエドワード君の態度にヴィンズが前に出ようとした。
けれどなんとかそれを制止して、一直線にエドワード君の事を見つめた。
入れよ。とエドワード君が病室へ招いてくれた。
そこにアルフォンス君の姿は無かった。
沈黙を破ったのは僕の方だった。
「エドワード君。昨日は怒鳴ったりしてごめん。僕も結局は大人の保護から抜け出せないガキだった。」
「俺も、もっと大人を頼れって叩かれた…。」
「……随分大人になったと思ったんだけどな。」
「あぁ…。」
急に自分がなんにも出来ない子供に戻ってしまった気がした。
自分を越えて国を助けてくれと懇願されても、僕は足が震える。