第4章 『理解』 2
「ごごごごごめんなさい…」
「あんな暑苦しい人に詰め寄られたら喋らざるを得なくて…」
エドワード君とアルフォンス君は二人に同情の視線を向ける。
おいおい、と嘆いている少佐。
彼を無視して僕が二人に近づく。
「解読したんだって?それで、賢者の石の製造方法はどんなだった?」
酷い落ち込み様の二人を見ていればわかる。
その方法が実に非道だったということぐらい。
けれど、聞かなきゃならない。
「賢者の石の材料は…生きた人間だ。それも複数の人間が必要らしい。」
「やっぱりね。」
「やっぱり?」
これで確信するに値する情報を得た。
僕は知らぬうちに賢者の石の製造に成功し、そしてそれをよどみなく自分の身体の再生に使い果たしたのだろう。
彼らの探し求めていた答え、それが僕だったわけだ。
「あれ?右手義手だったんですか。」
なぜ、どうして?と口を開きかけたエドワード君にかぶせるようにブロッシュ軍曹がそう聞いた。
「あぁ…えーっと、東部の内乱の時にちょっとね。」
「そそ、それで元の身体に戻るのに賢者の石が必要でして…」
慌ててごまかす二人。
アルフォンス君が上手くカバーする。
「そうですか…。それがあんなことになってしまって残念ですね。」
「真実は時として残酷なものよ。」
少尉の言葉にエドワード君が何か引っかかった様子。
『そして君ならば真実の奥の更なる真実に…』
…マルコーさんの言葉か。
「そうか…まだ何かあるんだ…なにか…」
なにか……。
賢者の石が単なる戦争に勝つために作られた物だとしたら、マルコーさんはこの事実を公にし、二度と作りだされないようにすることもできた筈だ。