第4章 『理解』 2
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エルリック兄弟が詰めている図書館を訪れてから数日。
気になる情報を耳にした。
『鋼の錬金術師がティム・マルコーの蔵書を解き明かした』
らしい。
そこに書かれているのは『賢者の石』の製造方法だとマルコーさんは言っていた。
その答えは僕も知りたい。
「ヴィンズ。エルリック兄弟の所に行ってくるので、後を頼みます。」
「…はい。」
後わずかだったデスクワークを嫌そうな顔のヴィンズに預け、兄弟の泊まるホテルへと急いだ。
「むむっ。ヒューズ少佐ではありませんか!」
「あぁ、アームストロング少佐。お久しぶりですね。」
ホテルの廊下で彼らに会った。
少佐は部下が世話になったと深々とお礼をしてくれた。
その後ろでは少しうろたえた様子の、ロス少尉とブロッシュ軍曹。
ドスドスと早足で廊下を歩いて行く少佐を慌てて追いながら、二人に何事かと聞いた。
「…それで、耐えかねて話してしまった。と。」
「はいぃ…。」
ま、まぁ。僕でもアームストロング少佐にぐいぐいと詰め寄られればもしかしたら口を割ってしまうかもしれない…。
「しょうがないよ。なるようになるしかないさ。」
「ヒューズ少佐ぁ~…」
「んー、僕に縋っても彼を止めるのは僕の仕事じゃないからねぇ。」
他の部署は随分緩い上下関係なのか、それとも信頼しているからこその緩さなのか…。
上下関係の厳しいウチとは全く違うなぁ
「エルリック兄弟!いるのであろう!我輩だ!ここを開けんか!」
ドンドンガチャガチャ!と派手な音を立ててアームストロング少佐が扉と格闘する。
やがて少佐は扉の鍵を破壊し、中へと侵入する。
その勢いのまま少佐は感極まってエドワード君を、ぎゅぅぅうう!と締める。
「何たる悲劇!賢者の石にそのような恐るべき秘密が隠されていようとは!」
………。
「少佐。エドワード君を解放してください。」
「おぉ。うむ。」
ようやく解放されたエドワード君にロスさんとブロッシュさんが謝罪をする。