第4章 『理解』 2
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全焼した『国立中央図書館第一分館』
そこにあった資料を丸暗記しているという女の人、シェスカさん。
彼女の手を借りて、ティム・マルコー氏の蔵書を複写してもらった。
そして暗号を解き始めて1週間。
難解も難解。集中していないと何が何が何だかわからなくなる暗号を兄さんと二人で解き続ける。
と、そこへヒューズ親子が顔を出してくれた。
ビーネ・ヒューズさん。
彼は最初すごく嫌な人だと思ってたけど、話してみればいい人で、そしてボクらと同じく人体錬成をした人。
最初は打ち解けられなかった兄さんとビーネさん。
けれど、ボクの見てないうちにいつの間にか仲良くなってた。
親子が来る前にシェスカさんも来ていて、なんだかドタバタしているうちに、ヒューズ中佐がシェスカさんを引きずっていってしまった。
「ありゃぁ、いいものを拾ったな。」
「いい物って…シェスカさんをどうするつもりだよ。あんたの親父。」
「雇うんだよ。シェスカさんも仕事が見つかってよかったねぇ。」
呑気なビーネさんとせっかちな兄さん。
案外ベストコンビかも。
「…行き詰っているみたいだね。二人とも。」
ビーネさんはテーブルに散らばった資料を見て言う。
でも、そう言っているビーネさんの顔は、なんだか答えを知っている先生のようだった。
「あんたも、こんなところにいるくらい暇なら手伝え。」
「僕は仕事中。鋼の錬金術師の様子見だよ。」
少尉と軍曹の激励も兼ねてね。と笑う。
「本当にビーネさんって少佐なんですね。兄さんと同い年なのに…」
「中将に気に入られたから、スピード出世出来たんだよ。」
運だね、運。
そうビーネさんは言うけれど、きっと何か裏があるに違いない。
ボクはこの人に治してもらったからわかる。
錬成の仕方が兄さんとは全く違った。
何となく自然にというか、なんにも考えないで出来てるというか…。
「じゃぁ、エドワード君。アルフォンス君。頑張って。」
そう言って居なくなったビーネさんはいつもの笑顔だった。
「へっ。どーせろくに仕事なんてしてないんだろうよ。ふらふらほっつき歩いて暇つぶししてんだろ。」
「兄さん…実は…僕も何となくそう思った。」