第4章 『理解』 2
「―――そろそろだな。」
「うん。楽しみだね!」
聞こえて来るエルリック兄弟の声にコートから顔を出した。
「ヒューズ、そろそろ着くぜ。」
「…あぁ。セントラル…。」
中央の駅に入るまだまだ前から荷物をまとめさせられ、セントラルの図書館について兄弟に根掘り葉掘りしゃべらされた。
「早くしろよ、アル!ヒューズ!」
「兄さん、そんなに急がなくてもっ」
「ふぁ…ふ。」
眠たいったりゃありゃしない。
はしゃぐエルリック兄弟を前に見ながら、僕は慣れた足取りでホームを歩く。
「あ。」
兄弟の前に軍服姿の3人を見つけた。
うち1人は見知った顔だ。
「エドワード君!アルフォンス君!」
「なんだよ。」
「お迎えだよ。」
お迎えー?と少し不服そうな顔をするが、彼らの方がこちらに気がついて早足で向かって来た。
「ヒューズ少佐。お迎えにあがりました。」
「ヴィンズ、いつもご苦労。」
三人の中で最も小柄な青年、ヴィンズ・カーリー少尉。
彼は僕の鞄を受け取り、いつものように僕の後ろに控える。
「ヒューズ…あんた、少佐?」
「言ってなかったっけ?僕、こう見えても結構偉いんだよ?」
「「えぇーっ!」」
そんなに驚くことでもないと思うんだけどなぁ。
「お前俺と同い年だろ!?なんだ、コネか、賄賂か!」
「んー…身長の差じゃないかな?」
「きーっ!誰がミジンコだゴラァ!」
ちょっと身長をからかえばすぐ怒る。
5センチほどしか変わらないのに、そうやってムキになるところが面白い。
バタバタと暴れるエドワード君をアルフォンス君が必死に止めている。
そして、その様子を見て二人の軍人が話しかける。
「こちらが鋼の錬金術師殿でありますか!」
「マリア・ロスです。お会いできて光栄です!」
「デニー・ブロッシュです。いやぁ、二つ名通りの出で立ち!貫禄ですな!」
「え?」