第1章 『出会い』
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迎えは違う奴が来る。
と告げてようやく軍部に戻ってくると、先ほどより肩の力の抜けたハニーとホークアイ中尉が部屋で待っていた。
「おかえりなさい、大佐。今、コーヒーを。」
「あぁ、ハニーの分も頼むよ。」
いつもの調子で部屋を出て行った中尉。
ハニーはと言えば、勝手に人の机を漁り、マル秘の資料までも読み漁っていた。
「…そう言うところは父親にそっくりだな。」
「へぇ、父さんも。」
「はぁ。話しには聞いていたが、また背が伸びたな。」
資料を読んでいるハニーを無視して自分の席に着く。
静かに戸が開き中尉がコーヒーを置いていなくなった。
「父さん、しょっちゅうロイに電話しているんだね…。」
「親バカもほどほどにするように言っておけ。」
ハニーはソファーに座ると優雅にコーヒーを飲み始めた。
「監査は?」
「あー…上には適当に報告しておこう。エイドス中将もロイの事はわかってらっしゃるから、気にするまでもないさ。」
他の大佐連中なんて。と言葉を続ける様は内部を知り過ぎている老中のよう。
監査司令部など、軍人から最も嫌われる部署だ。
それでいてなおかつ戦闘のエリートが揃っている。
彼らなら、錬金術師相手でも生身の人間が勝てるという噂だ。
「しばらくとどまるというのは?国家錬金術師殺人の件かね?」
「エイドス中将のご命令だ。…グラン准将をひどく気にいってらっしゃったからね。」
私情を挟んでの判断か…。
「では、しばらく東部(ココ)を荒らさせてもらいますね。大佐。」
「わかった。好きにしたまえ。」
まったく仕事の虫だ。
情報収集に余念がない。