第1章 『出会い』
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『綴命の錬金術師』ショウ・タッカーを訪ねるため、アルと大佐の車に乗る。
車が発進してから、さっきの少年の事を思い出す。
「大佐。さっきの誰だ?」
「ハニーの事かい?彼は監査官だ。軍に反骨するものを排除する仕事をしている。」
「うぇ。ヤなやつ。」
男の癖に嫌に綺麗だし、俺と変わらない歳みたいだったし、俺より背が高かったし……。
けど…あんなやつも軍人なんだ。
「兄さん、さっきの人って?」
「あぁ、さっきな。俺と変わらねぇぐらいの歳の男が大佐の事を監査するって、やって来たんだ。」
「監査と言っても世間話をするようなものさ。君も査定があるだろう?その結果は彼の所属する監査に集められる。国家錬金術師の研究も他の軍人たちの情報もそこへ集められ、いつの間にか査定されているという事だよ。」
勝手に軍にとって善か悪かを判断されているというのに、大佐は面白そうに話しをする。
紙面だけで判断されちゃ困る。
「安心したまえ。彼は頭の固いお偉方とは違う。だが、一つだけ忠告するとすれば、もしかしたら君たちのしたこともばれているかもしれないな。」
俺はアルと視線を合わせて、何となく口をつぐんだ。
…早く、タッカーさんの家に着くと良いな。