第24章 『再・理解』 3
「君は随分色濃く血を継いでいるみたいだ。代々ジプシーの長達は君と同じような金色の髪に空色の瞳をしていた。」
「どうして、知ってるんですか。」
確かに、彼の言う通り。
なぜだかジプシーの長やその親戚にはどんな血が混じろうとも、金色の髪に空色の瞳が生まれた。
長の血が途絶えてもなお、ジプシーの長には金色の髪に空色の瞳の人物が付いた。
「だから言ったじゃないか。俺はジプシーにいたことがあるって。それから長い間世話になったよ。この不老不死の身体も錬金術や錬丹術の賜物だって言ってね。黙っていてもらう見返りに、俺は彼らに錬金術を教えたんだ。」
不老不死伝説。
錬金術や諸国の呪術に長けたものは不老不死となる術を身につける。
これは実際にそういう人がジプシーにいたことが起源だと物語で聞いた。
だから僕らジプシーは日々研究や勉学に励み、訪れる国々で新たな知識を吸収するのが常だった。
「ふ、不老不死伝説は貴方の話でしょうか?」
「不老不死伝説?あー、もしかしたら俺かもしれないね。」
「僕らが、錬金術に長けているのは…貴方の所為?」
「それが条件だったからね。黙っている代わりに、金になる錬金術を教えろって。」
そうだ。
僕らは錬金術で生きていた。もちろんそれはこの世界で生活するのに欠かせないお金というものにも関わっていた。
信じるべきなのだろうか。
「まだ、疑ってるね?」
「…そりゃぁ、疑いもしますよ。語り部の爺さまがたから聞いた話の人物が実際に目の前にいるんですから。」
「まぁそうだろう。でも……。」
「はい。信じます。」
「ありがとう。」
ホーエンハイムさんは付きものが落ちたように楽しそうに笑っている。
「君にすべてを話したのは、君が、ジプシーを……消してしまったからだ。」
「はい……紛れもない事実です。僕が、僕が父を生き返らせようなんてしたから…。」
「うん。当然だ。知識があればきっと犯してしまう罪だ。」