第23章 『再・理解』 2
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「は?」
「え?」
自害ってことは自殺だろ?
一体どうして?
「ほ、本当なんですか?ビーネの冗談とかじゃなくて…。」
「あぁ。この目で遺体も確認した。」
「本当にビーネだったのか?」
「そうだと言っている。」
嘘だろ……。
いや、もしかしたら殺されたのかもしれない。
誰に?
軍の人に殺されるなんてあいつらしくない。
あの、冷静で恐ろしく頭の回る奴の事だ、絶対にそんなヘマはしない。
マイルズ少佐は淡々とそう俺たちに告げただけで、戻って行ってしまった。
「兄さん。」
「何でだ……どうして。」
「ボク、ビーネが自殺をするなんて考えられないよ。」
その時、またこの牢屋に人が出入りする音が聞こえた。
「エドワード君。アルフォンス君。聞いたか?ビーネ君の事。」
ファルマン准将だ。
「はい。聞きました。」
「あ、あの…ビーネに会う事は出来ますか?」
「すまない。彼の遺言で、簡単に埋めてくれと言われていたそうだ。もう、彼の葬儀は終わったよ。」
「遺言って………止められなかったのかよ!」
俺の言葉にファルマンさんは「すまない。」とうつむくばかり。
「ビーネ君は、アームストロング少将と二人きりで話をしている時に自害を決意したそうだ。彼の遺言のすべては少将しか聞いていない。だから、最後に彼が何を託したのか、俺は知らないんだ。」
少将が……。
ビーネが見誤ったのだろうか。
少将は簡単に人造人間側に付いてしまうような人だったのかもしれない。
「二人とも。あまり気を落とさないようにな。」
ファルマンさんの落ち込み様を見ていると、
ビーネが死んでしまったのは事実であると突き付けられた。
アルフォンスもベッドに腰掛けうつむき何もしゃべらない。
俺は、知らないうちに握りしめていた掌の力を抜いて、アルと同じようにベッドに腰掛けた。
「………。」
悲しいとか悔しいとかの感情はない。
いつも心のどこかには必ず居て、苦しい時には支えになってくれていた。
心にぽっかりと穴が開いた。
塞がらない穴が。
「……ばかやろ。」