第3章 『理解』
僕らは彼女たちの邪魔をしないように三人そろって外へ出た。
「…ったくなんなんだあの凶暴女は!」
「徹夜してまで治してくれるんだよ、兄さんちゃんとお礼いいなよ。」
わーってるよ!と不貞腐れながら、ごろんと草原に転がる。
アルフォンス君もその場に座り、ゆっくりと辺りを見回している。
「ところでエドワード君。ここらに宿はあるかな?」
「宿?さっきの駅前に一軒しかない。」
「ヒューズさんもここに泊まったらいいですよ。」
「いや、でも…迷惑じゃないかな?」
二人も三人もかわんねーよ。と豪語するエドワード君に押されて、滞在する間この家にお世話になることになった。
「はー…三日かぁ……とりあえずやることがないと本当に暇だな。」
「ここしばらくハードだったからたまには暇も良いんじゃない?」
「ん―――暇なのは性にあわねぇ!」
僕は少し彼らから離れたところで私服の薄茶色のコートを脱いで地面に投げ捨て、ワイシャツのボタンを緩め伸びをする。
彼らの性格が段々つかめて来た気がする。
せっかちで探究心の強い兄、それにマイペースだけどハッキリした性格の弟。
「…いい意味で支え合ってるんだな。」
「あ?何か言ったか?」
「いいや…なにも。」
その探究心が彼らを禁忌への道に導いたんだ。
それは僕だって同じか…知識があればそれを使わずにはいられなかったんだから…。
家にいる間は彼らの護衛に気を使う事は無かった。
少しでも煩くすれば、集中しているウィンリィさんのお叱り(スパナ)が飛んでくるのだから少しは警戒を緩めてもよさそうだった。