第3章 『理解』
エドワード君がウィンリィと呼んだスパナの女の子とも握手をし自己紹介をした。
家の中に招かれれば、ここがすぐに機械鎧の工房だとわかった。
一応客人として招かれ、テーブルについてコーヒーを飲みながらエドワード君は話しを切りだした。
跡形もなくなった彼の右手を見てウィンリィさんは驚愕する…。
「んなーっ!」
「おぉ、悪ぃぶっ壊れた。」
「ぶっ壊れたってあんたちょっと!あたしが丹精込めて作った最高級機械鎧をどんな使い方したら壊れるって言うのよ!」
「いや、それがもう、粉々のバラバラに…」
「バっ……」
よほどの念を込めて作ったのだろう、ウィンリィさんはふらふらとエドワード君に近づくと、次は素手で彼の頭をすっ叩いていた。
「で、なに?アルも壊れちゃってるわけ?アンタら一体どんな生活してんのよ。」
「いやあ…」
……。
何だろう、この夫婦漫才みたいな雰囲気。
僕、邪魔じゃない?
「エド。こんな可愛い女の子どこで引っかけて来たのよ!」
か、可愛い女の子?
「はぁ?コイツ、男だぜ?」
「えぇ!?」
「あ……どうも。エドワード君にはお世話になってます。」
「いえいえ、こちらこそご迷惑を……」
ペコペコ……って何してんだ僕は。
早速足と腕を診るためにベッドに寝かされるエドワード君。
アルフォンス君やピナコさん、ウィンリィさんは慣れた様子でエドワード君の様子を見ている。
僕は、じろじろ見る訳にもいかずテーブルに座ったままちらちらと見える彼らを遠くから観察している。
「とりあえず、三日間はスペアでがまんしとくれ。」
「うん」
「削り出しから組み立て、微調整、接続、仕上げと…うわカンペキ徹夜だわ」
「悪いな無理言って。」
奥の部屋からこちらへ戻ってきたエドワード君は木で出来ている義足をつけて少し歩きにくそうにしていた。
「一日でも早く中央に行きたいんでしょ?だったら無理してやろうじゃないのさ!その代わり、特急料金がっぽり払ってもらうからね!」
ウィンリィさんがエドワード君の肩を思い切り叩くと、バランスを崩したエドワード君は思い切り転んだ。
「プフッ…」
「笑うなヒューズ!」