第22章 『再・理解』
エドが言っていた、「この国の地下に円形の穴」
『円形』とわざわざ言ったという事は錬成陣であるという事を臭わせたかったのかもしれないと考えている。
「あの兄弟が第五研究所の地下にあったものと同じだと言っていたが、何の事だかお前にはわかるか?」
「…第五研究所。えぇ、はい。ハッキリと、わか…り…」
思わず目の前のデスクを両の手で殴りつけて立ちあがってしまった。
「落ち着け。」
「なんっ……なにをっ!」
どこにもぶつけようのない怒り。
奴らはアメストリスの人を使って賢者の石を作ろうとしているんだ。
止めなければみんな死ぬ。
「お前はどうしたい。」
「どうしたい?」
「きっと、私はこれから中央に出向くことになる。ここにも中央軍の息が掛かる事だろう。お前の実力はきっと折り紙つきだ、私に付いてくるという手もある。」
一つ、レイブン中将を(何らかの要因で)死なせてしまった罰を受けに中央に戻るか。
二つ、アームストロング少将直属の部下となり、奴らの懐に潜りこむか。
どちらにしても犬小屋に戻ることになる。
事の中心はやはり中央だ。
誰かの下に付いてそれで…なんとかなるか?
あの大総統の事だ、僕が忠犬よろしく戻ればいくら少将の庇護があってもすぐに連れ戻されるだろう。
結局なにも手を尽くす事の出来ぬまま、事態が進行していくのを見守るだけになってしまう。
あぁ、一ついい事を思いついた。
「アームストロング少将。一つ提案があるのですが。」
その提案を聞いた少将はなんだか楽しそうだった。
「本当に良いんだな。」
「これが僕にとっての最善です。」
・・・