第22章 『再・理解』
「アレックスやファルマンの知り合いだそうだな。」
「はい…東部にも伺う事が多かったですし、ずっと中央の務めです。」
鋭い視線はずっと僕に注がれたまま。
「あの…アームストロング少将?」
「一体何者だ。ただの護衛とは思えない。」
どうする。ここでさっぱりエドワードたちの仲間で、ホムンクルス側に人質を取られています。たすけてください。と言ってしまう?
いや、エドは少将が寝返った可能性があると言っていた。
どちらを信じるべきか。
「何者だ!言え!」
「ビーネ君!」
ピリピリと張り詰めた空気の中に声が響いた。
ファルマンさんだ。
この状況を打開するには少し弱すぎる手だが、引き延ばすには十分だ。
「ファルマンさん!あ、あの!」
「少将!彼は元監査司令部の副司令官です。」
「監査司令部……あの、腐った部署の…二番手?」
えぇ。まぁ。外から見れば賄賂を受け取って好き勝手したい放題の上層部のためにある首切り包丁の上から二番目ですが何か?
……なにか?
「だとしたら、貴様にも消えてもらわなければならないな。」
マジかよ。
「ち、違います!彼も不老不死に関する奴らの事を知っています!」
「ファルマンさん!大丈夫だ、僕は大丈夫だ。」
ファルマンさんが僕と少将の間に入ってくれようとした。
でも、それはファルマンさんが上司への反逆罪と取られてしまうかもしれない。
……僕が今置かれている状況は難しい。
直属の上司は大総統になるだろう。
しかし、今僕の上司はレイブン中将に移っていた。
その中将が死んだのだ。
「少将!私は大総統府、護衛班のビーネ・ヒューズです。大総統から直々にレイブン中将の護衛に付けと命を受け、ここにいる次第です。」
ここにいる全員が僕の一挙手一投足に息をのみ、発砲許可が下りるのを待っている。
「要するに、体の良い首輪です。」
小さな声で、目の前にいるファルマンさんと少将にだけ聞こえるように呟いた。
「お前も、エルリック兄弟と同じか。」
「はい。エドとアルにも勝手ながら会わせていただきました。」
「ファルマン。これは事実か?」
「はい、事実です。彼は今回の一連の事件に関することを追いかけていたと、私はそう判断しています。」