第21章 『停滞』 4
「中将はもういないぞ。ここにはエルリックという奴らがいるだけだ。帰れ。」
ほっほう。
こりゃまた面白い事になっている。
「あぁ、よかった。彼ら僕のいとこなんです!ここにきていると噂は聞いていましたが。あぁ、よかった。飢えて死んでしまっているのではないかと心を痛めていました。一目、一目でいいのです。合わせてはいただけないでしょうか!」
ほんと、そろそろ役者の道を考えた方がいいような気がしてきた。
そう熱く語りかければ二人の軍人は僕をすんなり中に入れてくれた。
ちょろい。
「聞いた事がある声だな!おい!コラ!」
ガチャンガチャン!と鉄格子を揺する音が豪快に聞こえてくる。
見張りの兵が「うるさい!」と怒鳴っているが、逆効果のようだった。
「てんめぇ!ノコノコとこんなところでなにやってるんだ!あぁん!?」
「に、兄さんやめなよ!」
ガルルルル。と今にも咬みつかんばかりのエドワードと兄を止めようとあたふたしているアルフォンス。
こんなところで両の手に手錠まで掛けられているのに元気な事だ。
「久しぶりに会ったけど、変わってなさそうだね。」
僕は檻の外には居るけれど、彼らと同じように手枷が付けられているような気がした。
・・・