第20章 『停滞』 3
「……ビーネ。病院連れてく。」
「え?一人で戻れるさ。」
「お前、寝てるぜ?貧血だろ、それ。」
…………無理し過ぎていたようだ。
幸いホットドックはすべて食べ切れた。
多少体力が戻ったとはいえ、あの時流した血の量が多すぎたみたい。
立ち上がろうとするが、立ちくらみの所為でしゃがんでしかいられなかった。
「顔色悪。」
エドワードはそう言いながら僕に背中を向ける。
「おぶってやるから。ほら!」
遠慮する理由なんてなかった。
僕を気遣ってなのか、単に僕とエドの身長の差だけの体重の所為だったのか、彼はゆっくりと立ち上がり歩きだした。
「お前知ってるか?昨日の昼間、錬金術がつかえなかった時間があるって。」
「いや?……え、使えなかった?」
「へぇ。お前らでも集めきれない情報ってあるんだな!」
僕が知らない事を自分が知っているのが嬉しいエドワード。
僕にだって知らないことぐらいあるし、知らなければ聞く勇気を持っている!
ただ、その時の情報だと錬金術を使っていたという記述もあった。
「昨日の昼間……お父様の所に君たちがいた頃だろう?その時、アルフォンスはお父様に再生してもらっていたはずだ。」
「その後だ。」
「スカーと錬丹術の少女が合流して、君たち二人はホムンクルスのエンヴィーに捕まった。少女はアルフォンスの腹の中に。スカーは逃げ延びた。」
「ちょうどその間だ。戦ってる最中だよ。」
……エドワード君?
「へぇ……くわしく聞かせてくれる?」
彼の話に僕は戦慄した。