第1章 『出会い』
――――水は水素と酸素の化合物である。
温度によって、水蒸気、水、湯、氷、さまざまに変化する。
その水を理解し、分解し、再構築させる。
それが僕らの生活だった。
「大佐。ヒューズです。」
返事を待ってから中に足を踏み入れれば、父の友人ロイ・マスタング大佐ともう一人写真で見たことのある人物、もとい監査司令部でも話題になっている人物、エドワード・エルリックの姿があった。
「しばらくの間、東部に滞在させていただく旨の挨拶に参りました。」
「かたくなる必要はない、ハニー。こちらはエドワード・エルリック、鋼の錬金術師だ。」
「君が…あぁ、大佐、取り込み中だったようで。」
「いや、ちょうど終わったところだ。」
ロイの前に座っていたのは、金髪に金色の瞳をしたあまり背の大きくない少年。
彼の情報は既に頭の中にあった。
彼がきょとんとこちらを見ているので、仕方なしに僕も視線を合わせているところだった。
「で、ハニー。用件はこれだけじゃないだろう?」
「はい。エイドス中将が、暇ができれば監査まで顔を出してほしいと。」
「無理だ。」
まぁ、そう言うと思いまして…
「はい。そのための僕です。お時間をいただけますか?」
「わかった。だが、鋼のを送ってきてからにしよう。」
「わかりました。お待ちしています。」
何の悪意も意図もない視線を背に受けながら、平静を装ってロイの部屋を後にする。
さて、久しぶりにみんなに会ってこようかな。