第2章 『出会い』 2
錬金術師としての血が騒ぐ。
「マルコーさん、たしか研究資料を持ち出したって…」
「あ、あぁ。」
「だったら、その持ち出した資料を見せてくれないか!?」
「えぇ!?そんな物どうしようと言うのかね。ヒューズの息子、一体どういう事だ。」
テーブルに身を乗り出した俺を見て、
驚いた表情でヒューズに説明を求めるマルコーさん。
「彼もあなたと同じ国家錬金術師です。彼なりに目的を持ってあなたを訪ねた…。」
マルコーさんは落胆した表情でテーブルの木目を見つめた。
「潤沢な研究費をはじめとする数々の特権につられて資格を取ったのだろうが、何と愚かな…!」
それも、それもあるかもしれない…。
でも、リスクがあることも十二分に承知してここにいる…。
「あの内乱の後人間兵器としての己の在り方に堪えられず資格を返上した術師が何人いたことか!それなのに君は…。」
「バカなマネだというのはわかってる!それでもっ!……それでも目的を果たすまでは、針のムシロだろうが座り続けなきゃならないんだ!」
俺は立ち上がり、壊れた右腕を隠していたコートを脱いだ。
アルもかろうじて動く左手で、身体を覆っていた布を取り去った。
「……なん、と。」
こうなった経緯を話すべきなのだろう。
と、息を吸った時ヒューズが立ち上がった。
「エドワード君。僕は外に出ているよ。」
「え?」
彼の行動の意図が読めない。
けれど、既に出て行ったのを追い掛けるのもどうかと思った。
深呼吸をひとつ。
「マルコーさん。俺たちは……」