第17章 『再構築』 4
「ビーネ、腕が…!」
「平気だ。ちっと骨が折れちゃっただけだ。」
「折れたってレベルしゃないよ!」
視線を向けることすら怖い。
肘から先が燃えるように熱い。
あの、スカーでさえその場から動かないでこちらを見ているだけ。
戦闘は無理か。
「アル。逃げろ。ここは僕だけでいい。」
「お、置いて行けるわけないだろ!」
死を、覚悟した。
ごめん父さん。ごめんみんな。先、行ってるわ。
スカーがゆらりと身体を傾けたのがわかった。
なんでだろうな。
笑ってるよ、僕。
「でえぇぇりゃあっ!」
「兄さん!」
何が起きたのか分からなかった。
目の前のスカーが吹っ飛んで、ここに居るはずのないエドワードの背中が見える。
あぁ、いよいよお迎えか?
「ビーネ!てめぇスカー!」
血が流れ出る感覚は一向に止まる気配はない。
いよいよ目の前がかすみ、膝が折れた。
何か冷たい物に支えられる。
アルフォンスか。
「ビーネ!ビーネ!しっかりして!」
「アル。いいんだ。もう…」
「よくないよ!よくない!ビーネ!」
涙を、流したいだろ?アル。
「進め。アル…」
重たすぎる左腕でアルの胸を叩く。
失血で朦朧とする意識の中、地震のような地響きが体に伝わってくるのを感じた。
「あ…ホムンクルス!」
そっか。作戦は成功か。
武運を祈るよ。
エドワード。
・・・