• テキストサイズ

七色の雫 ~生きる道の再構築~

第17章 『再構築』   4



しかし、そこで終わらない。
もう一度、パン!と掌を合わせ、重力に従って落ち始めた水を一気に氷へと錬成する。
形は必要ない、僕らとスカーの間に壁を作れれば問題ない。

「すごい!」

僕とアルの前には、滝のように流れ落ちるまま固まった氷の壁。
しかし、何でも分解する彼の手にはほとんど意味がなかった。
ものすごい音を立てて壊れた氷の壁、アルフォンスを急かし下がらせる。

「無意味だ。」
「水、蒸発させたところで、何度でも戻ってくるぞ。」

錬成して、散布した水蒸気を改めて手元に呼び戻す。
足元に浸透した水はかなりの量。
睨み合い、止まる。
その隙にロイがしているような薄手の手袋をさっとはめる。

「水は循環する。永遠になくなる事は無い。ただそこに手を加えてスピードをあげてるだけ。」
「水を、作るという意味では同じ創造者だ。」
「違う。水はいくら集め作ってもその場に留まる事は無い。自らの意志で土に帰る!今みたいになっ!」

パン!と手を合わせ、地面から水を取り出す。
あらかじめ握っておいた、紙の錬成陣を持ち手に付着させ、手元で二丁の氷の拳銃を作る。

「長くはもたないからね。スカー。」

銃のように音はしない。
装填された氷の弾の後ろ、そこに急激に暖かい空気を作りだせば、空気圧が上がり弾がすっ飛んでく寸法。
何発も撃っていたら銃が解ける。
シュン!と発射される弾は筋もまっすぐじゃないため、走りながらスカーの中心を狙えば、腕や足に当たる。
ふと消えたと思ったスカー。
彼は狙いを右側にいるアルフォンスに変えた。

「くっそ!アルッ!」

慌てて銃を捨て、再度錬金術で自分の靴底で空気圧の爆発を起こし、その勢いのまま思い切りアルを突き飛ばした。

「良く、庇ったな。」

腕を持って行かれなかっただけましか。



/ 306ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp