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七色の雫 ~生きる道の再構築~

第17章 『再構築』   4



そう言いながら、僕は震えるウィンリィさんの手から銃を奪う。
カンッ!とアルフォンスが手を合わせる音が響いた。
それに合わせて僕はウィンリィさんを抱き抱え、アルの意図するように彼のつくる錬成物に乗ってその場を離れた。

「ビーネのバカ!死ぬ気か!」
「あはは、ごめんごめん。」

アルの動きに合わせてこちらに走ってきたエドワードに、震えているウィンリィさんを任せる。

「ばっかやろうっ!何無茶な事してんだ!お前が死んだらどうすんだよ!」

ゴィン。と人間のこぶしでは到底出ない音が僕の脳天から聞こえる。

「ばかやろ。」
「はいはい。」

その声が震えていたから、素直に黙っておいた。

「さ、エド。早くウィンリィさんを安全な所へ!」
「お、おぅ!」

この場を立ち去るエドとウィンリィさん。
その背を見送って、スカーを先に追って行ったアルフォンスを追い掛ける。
と、突然開けた場所に着いた、汽車の待機所か。
少し走り、鉄塔へと駆け上った。

「―――だけど、不自由であることと不幸である事はイコールじゃない。哀れに思われるいわれは無いよ!」

叫ぶアルフォンスの横へ鉄塔からジャンプし着地する。

「兄さんが錬金術でこの世につなぎ止めてくれた命だ。今のボクを否定する事は兄さんを、錬金術を否定することになる。……ボクは錬金術の可能性を信じてる。いや、信じたい!」
「……そうか。」

ゆらりと動きだすスカーに警戒する。
彼の腕は、戦闘の所為で流れ出たのだろう、貯水タンクの水へと手が伸びた。

「蒸発させる気か!」

ぐるりと視線を巡らせ、天候、風向き、湿度をざっと読みとる。
スカーの手が水に触れ一瞬で辺りに水蒸気が舞う。

「アル、気を抜くなよ!」
「うん!」

ポケットから錬成陣を取り出す暇なんか無い。
じゃり!とスカーが地面を蹴る音を聞いて両手を合わせた。
水蒸気は一瞬で晴れ、目に見える水が出来たところで、スカーの顔色が変わった。



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