第17章 『再構築』 4
とっさに走り出しウィンリィさんの近くへ飛び込んだ。
ただ、彼女の側に行くまでに彼女は銃をスカーに向けていた。
「お前には己れを撃つ権利がある。正し打てばその瞬間に、己れはお前を敵とみなす。」
「てめぇ、ウィンリィに手ぇ出してみろ!ぶっこ」
「殺すか!?それもいいだろう!だが忘れるな!あの内乱で先に引き金を引いたのはアメストリス人、貴様らであることを!」
もっともな言い分に聞こえなくもない。
だけど、僕にはわからない。
戦争をなくすために僕はあるのに、目の前の戦闘を止めることすらせずに傍観しているなんて…。
まったく。中将に合わせる顔が無いよ。
そして、今にウィンリィさんが引き金に指を添え、力を込めようと努力している。
「……ウィンリィ・ロックベル。彼は重要参考人だ。発砲するというのなら、こちらにも手はある。」
あまり使う事のない拳銃をホルダーから抜き、自らスカーの前へ背をさらす。
そして、震える手で拳銃を握るウィンリィさんに向かって、揺らぎない構えで彼女に向かって銃を向ける。
「は!?ビーネ!なにやってんだ!」
スカーの手が彼女へと向かっていた。
その間に割って入る形で立っている。
だから、僕の後頭部には触れるか触れないかで、スカーの手があるし。
腹部には銃口が触れるか触れないかで震えている。
そして、僕の向ける銃口はしっかりと彼女の額に触れている。
「本気か?」
「スカー。勘違いしないでくださいよ。彼女の手を汚させたくないだけですから。」
誰も、誰も動かない。
「エゴだな。」
「どうとでも。」